信州上田―ある冬の日
関東でも零下の朝
寒い日が続く
私はふと先頃、一人旅した信州上田の冬を想う
上田城のお堀は凍り、城跡から小石を投げ込むところころと滑っていった
信州の朝晩は深々と冷える
その凛とした冷たさには気品さえ感じる
つい二週間前に訪れた、沖縄の春のような暖冬と信州の厳冬が白黒の鮮やかなコントラストとなって私の心で重なる
降り積もる雪、凍結した蛇口、かじかむ手
雪国の人は強くなるはずだ、いや強くならなければならない
信州で産まれたが、関東育ちである私はここでの暮らしに想いを馳せる
上田城の石垣を登って、眼下に広がる城下町を見下ろす
真田信繁はこの城に立ち、どういう想いで押し寄せる3万8000人の徳川軍と対峙したのか
迎え撃つ真田軍は3千人
さあ、お前ならどうする?
信繁の覚悟が私の体に同期する
真田信繁、上田合戦当時33歳
同じくこの場所で、何度も信繁の想いと同期していた巨大な才能に想いを馳せる
池波正太郎、その人である
真田信繁、池波正太郎
上田市所縁の二つの才能に私は強く憧れる
上田合戦後、14年の幽閉生活ののち真田信繁が歴史の表舞台―大阪に登場するのは47歳の時
いつ終わるとも知れぬ幽閉生活でも、その日々を真剣に生き続けたからこそ、信繁は天下の家康と渡り合えた
つまらない日々を真剣に生きる―
しなの鉄道に一人揺られ、窓外に広がる夜の畑景色を見ながら、上田の冬は私にしんしんとそんな思いを刻み込んだ
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